眼科手術のなかでも、白内障手術はもっともポピュラーな手術ですが、手術時に入れる眼内レンズにはいくつか種類があります。
今回は多焦点眼内レンズについて触れてみましょう。

多くの方に共通した希望として、『日常はなるべく裸眼で過ごしたい』ということがあると思います。多焦点レンズは、その希望を叶えられるレンズになります。日本では、2007年に厚労省により承認されました。
多焦点眼内レンズは、光の性質(屈折や回折)を利用して、遠くと近くの2カ所に焦点が合うように設計されています。近くの見え方の目安として、30~40cmの距離で新聞やメニュー程度の大きさの文字が読めるようになります。それよりも小さい辞書などの文字や物を見る際や、長時間の近方作業には老眼鏡があった方が良いと言われています。

では、多焦点眼内レンズは、すべての方に適応があるのでしょうか。
残念ながら合いにくい方もいます。黄斑疾患や緑内障などの眼底疾患があり、視機能が落ちている方、乱視が強い方(不正乱視)は向いていない可能性があります。これらは、術前の検査、診察で分かることが多いです。

ここで多焦点レンズの注意点についても紹介します。

  • 夜間や暗い場所で、街灯や車のライトなどがにじんだりまぶしく感じる。
  • 30~40cmの距離で焦点が合うように設計されており、それ以上近づけたり離すと見えにくくなる。
  • 薄暗い場所では、文字などが見えにくい場合がある。
  • 視力が安定するまで、3~6ヶ月かかる場合がある。
  • 保険がきかないので、手術費が高額である。

などです。多少は慣れが必要になるようですね。メリット、デメリットをよく理解した上でレンズを選択しましょう。

白内障や老眼が出てきて煩わしさを感じている方は、是非、多焦点レンズを検討してみてはいかがでしょうか。当院も多焦点眼内レンズを取り扱っております。