白内障手術
白内障手術までの流れ
1. 受診(初診の方でも予約ができます)
検査や診察を行い、手術適応があるかどうか判断します。手術を受けるタイミングは日常生活に支障が出ているかどうかがポイントです。なので、視力が良くても手術する場合もあれば、視力が落ちていても経過観察する場合があります。
※免許更新期限が迫っている方は、優先的に手術できますので、ぜひご相談下さい。
2. 白内障の手術前検査
手術前には、視力や眼圧などの眼科一般検査以外に、下記のような検査が必要です。
- 角膜内皮細胞検査
角膜の内皮細胞の数や大きさ、形などを調べる検査です。 - 眼軸長検査
眼内レンズ度数を決めるために、眼の長さを測ります。 - 角膜形状検査
角膜の形を調べる検査です。 - 血液検査
手術に支障がないか判断します。
白内障手術は、眼内レンズの選定が最も大事です
当院では、単焦点レンズだけでなく、乱視用や多焦点レンズにも対応しています
眼内レンズの度数は人によって異なります。度数が合わなければ術前よりも不快になる可能性もあります。大事なのは、眼の長さ(眼軸長)と角膜形状です。当院では、下記の2種の機器を用いて眼内レンズの選定を慎重に行っています。前眼部の3次元撮影が可能な機器で、角膜から水晶体までの断面像や、角膜の形状を計測する最新式の検査装置です。
3. 手術(水曜午前 or 金曜午後が手術日です)
当院の特徴は、
- 日帰り手術
- 短時間(平均6~8分程度)
- 難症例や合併症にも対応可能
- 後嚢破損・核落下
手術中に水晶体の袋が破けてしまうことがあります。内容物が落下すると硝子体手術が必要になりますが、硝子体手術ができない施設は緊急で他施設に移動しなくてはなりません。当院は硝子体手術にも対応していますので、万が一のときも安心です。 - チン小体断裂
まれに水晶体の支えが弱い方がいます。眼内レンズを支えきれないと判断される場合には、水晶体嚢拡張リング(CTR)や眼内レンズ強膜内固定など、最新の術式で対応します。
- 後嚢破損・核落下
白内障の手術後の生活について
手術後は患部を保護するため、約1か月保護眼鏡を着用していただきます。ご自宅で療養いただくにあたり、術前検査の際に、注意事項についての資料をお渡しいたします。内容をよくご確認の上、生活してください。
手術後の通院について
手術を受けていただいた日の翌朝にご来院いただきます。
その後は、2~3日後、1週間後、2週間後、1か月後、2か月後、3か月後と経過観察を行います(3か月後からは3か月毎の通院になります)。ご紹介により手術を受けていただいた方は、通院の利便性などを加味し、ご紹介いただいた医療機関において定期検査を受けていただく事も可能です。
硝子体手術
当院では硝子体手術にも対応しています。
黄斑前膜、黄斑円孔、糖尿病網膜症、硝子体出血、網膜剥離などに対して、硝子体手術を行います。
当院で使用する機器は、アルコン社のコンステレーションビジョンシステム、カールツァイス社の広角観察システムResightで、最先端のものを揃えています。また、25ゲージシステムとよばれる無縫合小切開硝子体手術が可能で、切開創はわずか0.5㎜です。
手術中は麻酔を使用するため、痛みを感じることはほとんどありません。手術に要する時間は約20~40分です。ただし、疾患によっては1~2時間要することもあります。
また、疾患に合わせて眼球内を空気で満たし、特殊な気体(医療用ガス)を注入することもあります。その場合は、術後1~2週間のうつぶせや横向きの姿勢が必要なことがあります。
カールツァイス社の広角観察システムResight
眼内レンズについて
白内障手術で使用する人工レンズ(眼内レンズ)には、「単焦点眼内レンズ」と「多焦点眼内レンズ」の2種類があります。
単焦点レンズ
「単焦点眼内レンズ」は、ある1点にピント(焦点)が合うレンズです。そのため、若い頃のように見たい距離にピントを合わせることができず、ほとんどの場合、眼鏡が必要となります。例えば、遠くに焦点が合っている場合には近用の老眼鏡が必要となり、近くに焦点が合っている場合は遠方用の眼鏡が必要となります。
乱視用レンズ
単焦点レンズと同じで、ピント(焦点)の合う距離は1つです。
乱視が強い方に適応がありますが、術前検査で角膜形状を詳しく検査し、必要と認められた方のみこのレンズを選択します。(自分で選択するわけではありません)
多焦点レンズ 選定療養(自費診療)
「多焦点眼内レンズ」は、遠くと近くが見える遠近両用の眼内レンズです。遠方と近方の両方にピントが合うため、眼鏡に依存しない日常生活、またはメガネの使用頻度を減らすことが可能となり、QOL(Quality of Life)が向上出来る可能性があります。
「多焦点眼内レンズ」は高機能眼内レンズですが、設計が複雑なため、利点だけでなく欠点もあります。
多焦点眼内レンズは、眼の中に入ってきた光を振り分けてしまうため、光を全て活用する通常タイプの単焦点眼内レンズより、見え方の質が劣ってしまう(コントラストの低下)可能性があります。よって、見え方の質にこだわりを持っている方、細かいことが気になりいろいろと考え込んでしまう神経質な方には向かない場合があります。また、多焦点眼内レンズを使いこなすために高度の網膜機能が必要であるため、網膜疾患などの病気に罹患している場合や非常にご高齢な方などは網膜の機能自体が落ちている可能性があり、見え方の質が劣ってしまうため、非適応となることがあります。また、瞳孔が大きくなっている状態(薄暗い所、暗いところ)で、光が少し滲む、流れるなどの特徴(グレア・ハロ)があります。このため、夜間、車の運転時に気になる方がいらっしゃいます。多くの方は、この現象を感じますが、生活や仕事に影響するような程度になることは少ないと言えます。
実際にはこれらの欠点よりも、遠近両方が見える魅力の方が勝っているために、国内外の報告でも、概ね9割強の方が満足をしています。ただ、残り1割弱の不満例の中で、上記のような現象が容認できず、再手術によって単焦点眼内レンズに入れ替えるケースが、国内では、1.2%程にみられています。
見え方のイメージ画像
当院での『多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術』について
先進医療認定施設として多くの患者さんに手術を行ってまいりましたが、令和2年4月より、多焦点眼内レンズを用いた白内障手術は、厚生労働省が定める選定療養の対象となりました。選定療養とは、患者さんご自身が選択して受ける追加的な医療サービスで、追加分の費用が全額自己負担となります。当院は多焦点眼内レンズの白内障手術を行う医療機関として届出をしています。
眼内レンズの種類と金額(選定療養)
- 2焦点レンズ(AMO テクニス マルチフォーカル)
片眼 : 200,000円(税込) + 健康保険一部負担金
(乱視用はありません) - 焦点深度拡張型レンズ(AMO テクニス シンフォニー)
片眼 : 210,000円(税込) + 健康保険一部負担金
(乱視用は、240,000円(税込)+ 健康保険一部負担金) - 連続焦点型レンズ(AMO テクニス シナジー)
片眼 : 300,000円(税込) + 健康保険一部負担金
(乱視用は、320,000円(税込)+ 健康保険一部負担金) - 3焦点レンズ(Alcon パンオプティクス)
片眼 : 300,000円(税込) + 健康保険一部負担金
(乱視用は、320,000円(税込)+ 健康保険一部負担金)
健康保険一部負担金は、白内障手術の料金になります。
(片眼) | 1割負担の方は、13,600円~15,000円 |
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2割負担の方は、18,000円 | |
3割負担の方は、48,000円 |
※当院での手術は、クレジットカードが使用可能です。
2焦点レンズ(AMO テクニス マルチフォーカル)
遠くと近くの2箇所に、焦点のピークを持つレンズです。
近くは30cm、40cm、50cmにそれぞれ焦点を持つ3種類があります。
焦点深度拡張型レンズ(AMO テクニス シンフォニー)
遠くに加え、中間距離に至るまで、なだらかに焦点を持つレンズです。自然な見え方を希望する方には最適なレンズです。ただし、近くの細かい作業をする時には老眼鏡が必要となります。比較的グレアが少ないと言われています。
当院では、マイクロモノビジョンという方法(両眼手術の場合に、左右の度数にわざと差をつけます)を用いて、近方までカバーすることが可能です。
連続焦点型レンズ(AMO テクニス シナジー)
2焦点でも3焦点でもなく、焦点深度拡張の技術と回折型多焦点レンズの技術を融合し、遠方から手元まで視力の落ち込みが少ないレンズになります。
3焦点レンズ(Alcon パンオプティクス)
国内初承認の3焦点眼内レンズです。回折型の構造で、「遠方(5m以遠)」だけでなく、「中間(60センチ)」、「近方(40センチ)」にもピントが合うような設計となっています。