日本人は、近視の人が多いと言われています。確かに日本や台湾、韓国は世界的に近視の人が多い国です。一昔前までは、日本人=メガネ、というイメージがありました。
現在の日本では、コンタクトレンズを使う人が1,000万人とも2,000万人とも言われるようになりました。今コンタクトレンズの中でも使い捨てコンタクトレンズが一番使われていますが、これらはすべてソフトコンタクトレンズで、1日から1ヶ月の使い捨てコンタクトレンズがあります。装用感が良く、ケアも簡単で人気が高いのですが、誤った使い方をすると目を傷めてしまうことがありますので十分な注意が必要です。特に角膜感染症(角膜に細菌等が侵入して角膜膿瘍を形成する)を起こすと最悪の場合には失明してしまう危険があります。
ソフトコンタクトレンズは水分を含んでいますので微生物による汚染の危険性が常にあります。コンタクトレンズの取り扱いには必ず手指を使いますので、そのときに汚染が起こるのが第一です。第二は保存ケースを介しての汚染です。ケースにしまっておけば安心だと思っている人が多いのですが、まぶたや結膜に住む微生物がレンズとともにケース内に入り、ケースの中で繁殖してレンズが汚染されることがあります。第三にはまぶたや結膜嚢に住む常在菌による汚染もあります。 コンタクトレンズは角膜の上で涙に浮いた状態で装用されています。この涙には角膜に必要な酸素を供給する作用がありますが、正常な涙であれば浄化作用といって細菌や微生物などから眼球の表面を守る力を持っています。
平成13年に日本眼科医会が全国の眼科医療機関を対象に行った調査では、角膜に感染症の兆候と思われる角膜上皮びらん(表面の傷)が16,2%、角膜浸潤(混濁)が6,7%に認められました。まさにコンタクトレンズは、快適性と危険性の両方を持ち合わせているのです。
角膜に感染症が起こると、目が痛くなったり、白目が充血したり、目やにが出たり、角膜が混濁したりして、かすんでよく見えなくなって来ます。危険と感じたらできるだけ早く眼科専門医を受診して治療を開始することと、その原因を取り除くことが必要です。
このようなことが起きないようにするためには、常にコンタクトレンズを清潔に使用することが大切です。レンズをよく洗浄することは勿論、ケースを清潔にすること、決められた使用方法を守ることが必要です。そして主治医である眼科専門医の定期的な診察を受け、目やコンタクトレンズに異常がないことを確認し、適切に使用してください。
快適なはずのコンタクトレンズで目に異常を起こしては何の意味もありません。一生使う目を大切にしましょう。